S F(仮題)



 断続的に響いていた電子音を打ち消すように、巨大な爆発音。
 続いて警報音(アラート)が鳴る。

 政府(ガバメント)直属下の《中央研究所(ラボ)》の遮蔽シールドが、突如としてブチ破られた。最高機密の研究を進める迷彩部屋(ステルスチャンバー)に現われた不法侵入者の正体は――バカでかい銃砲をかついだ、たった一人の少年。
 過去に前例のない緊急事態に、逃げ惑い、走り回る研究者たち。その混乱の中で、まっすぐに迷いなく、少年の目の前まで歩み出てきたのは、
「――殺す気か、この筋肉バカが!!」
仏頂面をした、小柄な男の子。
 幼い見た目に反して《中央研究所(ラボ)》序列3位の要人――この世界の発展を加速度的に推し進めた立役者、《RE:CODE(レコード)》構築責任者、稀代の天才と謳われた存在。大抵の大人を屈服させるその弁舌の持ち主のちいさな頭を、少年は気安く、くしゃくしゃと撫で回して快活に笑った。


腕組みをした老年の男性が、モニタールームからその様子を見下ろしている。



SFトップに戻る  WMトップに戻る