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 人の気配が感じられない、薄暗い部屋の中。
『お呼びでしょうか』
 青い服の男は一点を見据えて立っていた。
 男が見つめる先の暗がりから、くぐもった低い声が響いてくる。
『月日が経つのは早いものだな……また彼の力を持つものが現われたよう だ』
 その言葉を聞き、男の口元が微かに緩んだが、すぐに元の無表情になっ た。
『では、早急に手配致します』
 男はくるりと踵を返し部屋をでていこうとする。
 戸口にさしかかったその背に、声がかかる。
『くれぐれも力を付けさせるな。後々厄介な者となる』
『はっ』
 深く一礼して、男は部屋を後にした。
 再び静けさを取り戻したその部屋には、おぼろげな蒼白い光が立ち込め ている。


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