0.人の気配が感じられない、薄暗い部屋の中。 『お呼びでしょうか』 青い服の男は一点を見据えて立っていた。 男が見つめる先の暗がりから、くぐもった低い声が響いてくる。 『月日が経つのは早いものだな……また彼の力を持つものが現われたよう だ』 その言葉を聞き、男の口元が微かに緩んだが、すぐに元の無表情になっ た。 『では、早急に手配致します』 男はくるりと踵を返し部屋をでていこうとする。 戸口にさしかかったその背に、声がかかる。 『くれぐれも力を付けさせるな。後々厄介な者となる』 『はっ』 深く一礼して、男は部屋を後にした。 再び静けさを取り戻したその部屋には、おぼろげな蒼白い光が立ち込め ている。 WMトップに戻る COEトップに戻る |
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