11.『ごほん』 シリカの長い説教に、割って入る咳。 シリカが我に返る。 『あ、あらやだ。ごめんなさい』 とちょっと照れ焦ったようにおほほっと笑うシリカ。背の高いほうが一歩進み出て、 『先程は失礼したわ。初めまして。私はエンド。鷲のアニドキよ』 と言って優雅に一礼した。 その隣にしゃがみこんでいた小柄なほうが、 『僕は猫のアニドキ。名前はニコラス。みんなニックて呼んでる』 とおどけたしぐさを見せる。 エンドの礼儀正しさに感化されて、思わずシリカも背筋を伸ばす。 『初めまして。私はシリカといいます。こっちはゼム。私は人だけど、ゼムは……たぶん、トカゲのアニドキです』 と溌剌と答える。 エンドと名乗った女が、ゼムをじっと見る。ふと視線に気付き、ゼムはエンドのほうを見るが、エンドは目をそらし話しだす。 『実は我々はある目的のために力を集めている。ぜひ2人に力になって欲しい』 『目的って?』 と言うシリカを遮り、ゼムが身を乗り出した。 『強くなれる?』 『ゼムよわっちーもんな』 と、ニックが笑う。 『もちろんなれるわよ。目的についてはアジトで説明しよう』 エンドに連れられてその場を後にした。 その後、その場に、白い少女率いる帝国兵士たちが現われる。 『……遅かったか。探せ!』 白い少女の命令にちりぢりに姿を消す兵士たち。 白い少女に一人の男が近寄る。腰から下げた武骨な斧と鎌が、歩くたびに物騒な金属音を立てる。 白い少女はすぐさま、男の前に跪く。 『見つかったら殺さず報告しろ』 男はそういうと身を翻し姿を消した。 『はっ』 白い少女の声が響く。その余韻が消える頃には、その場には誰もいなくなっていた。 WMトップに戻る COEトップに戻る |
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