4.



『あちー……。探しに来たのはいいけど、砂漠広いぜー……』
『迷子になったら、私たちも危ないんじゃない? 砂漠地帯って、盗賊が多いって聞いたことある』
 心配そうなシリカに、ゼムは根拠もなく大丈夫と笑った。
『とりあえず、北に真っすぐ行ったところにオアシスがあるらしい。砂漠を越えるにはこの中継地点を必ず通るって話だ。行ってみよう』


 シリカの白い足がぱしゃぱしゃと水面を揺らす。
 ようやくたどり着いたオアシスで一息ついていると、ゼムが何かに気付いたように目を細めて蜃気楼の先を指さした。
『誰かが倒れてる。ほら、あそこ』
  おそるおそる近寄ると、それは見知った顔で、シリカは驚いた。
『マイゴさん!!』
『み、水。水をく……れ』
 そううめくマイゴを、ゼムが背負って目の前のオアシスへと飛び込んだ。水しぶきが上がる。
『ふぅ――生き返ったーありがとう』
 冷たい水をたらふく飲んだマイゴは、元気よく顔をあげた。
『ところで、きみたちはこんなところでなにをしているんだい?』
 オアシスから上がったゼムとシリカはマイゴに、今までのいきさつを話した。
『――というわけなんです』
『なるほど』
 マイゴが納得した様子で深く頷いた。
『あの、マイゴさんはどうして』
『情けないことに、砂漠の残盗の住処の近くを通るとき、村に届ける予定の大切な荷物を盗まれてしまってね』
『取り返すの、手伝います! ね、ゼム』
『おう』



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